【インタビュー・前編】オカンの知ってる会社になんて行くな!

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今回は、元Google米国本社副社長兼Google日本法人社長を務められた経歴を持つ、村上様にお話を伺いました!!

 

 

今月で70歳になられるという村上様ですが、その若々しさとユーモアたっぷりなお人柄は、吸い込まれそうなほど魅力的でした。

19歳の頃に学生運動がきっかけで逮捕されるなど、かなり異質なご経歴もお持ちですが、それも愛嬌というものです。

ご自身のことを「ツキの村上」で呼んでおられるそうですが、やはりツキを呼ぶためにも周到に準備し、また1つ1つの物事に全力で取り組まれてきたのだということをひしひしと感じました。

たくさんの方に、村上様のお話が届くことを、心から願っております。

(村:村上様、筆:筆者)

 

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*村上様のご経歴

1947年、大分県佐伯市に生まれる。

京都大学在学中、学生運動が火を噴き、警察に逮捕される。

1970年、京都大学工学部卒業。

新卒で日立電子に入社。

1978年、日本DECに転職。

1986年から5年間、DECの米国本社人工知能技術センターに勤務。

日本に帰国後1992年、日本DEC取締役に就任。

1994年、米インフォミックス副社長兼日本法人社長に就任。

1998年、ノーザンテレコム(ノーテルネットワーク)ジャパン社長に就任。

2001年、ドーセントジャパンを設立し、社長に就任。

2003年、米Google副社長兼Google日本法人社長に就任。

2009年から2010年まで、Google名誉会長。

2011年、株式会社村上憲郎(むらかみ のりお)事務所を設立。

現在、株式会社エナリス代表取締役、その他複数の大学で教鞭もとる。

*なお、村上様の記事は二部構成でお送りいたします。

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「それでは早速インタビューをさせていただきます!ご経歴に関しては、インターネット上などに多く掲載されいているので、少し詳しく聞いていこうと思います。

まずはやはり学生運動について。。。」

 

「はいはい、去年でちょうど逮捕されて50周年です。(笑)」

 

「お、おめでとうございます。(笑)」

 

「学生運動では中核派に所属しておりました。

きたなーい警察署に勾留された時は嫌でしたね。(笑)」

 

「なぜそういった学生運動にハマったんでしょうか?」

 

「そりゃあね、僕らって団塊の世代でしょ?団塊の世代っていうのは、ものすごい人数がいるわけですよ。

それで人並みに受験勉強やって、なんとか京大に潜り込んだわけなんですけどね。

そうすると、今の学生諸君なら、『よしじゃあ大学にも受かったし遊ぶか』となると思うんです。

 

でも当時はベトナム戦争の真っ只中で、そういった状況下で『ベトナム戦争はいかがなものか』と考える学生が多かったんです。つまり『ベトナム戦争反対!』と。それが中心的なテーマになっていましたね。

それが引き金となって学生運動の中核派に所属することになりました。(笑)」

 

「なるほど。今の世代では考えられないようなことですが、当時はそのテーマに対して本気で行動を起こしていたと。

では、少し時間を飛んで、現在はご自身の事務所を立ち上げられて、株式会社エナリスでエネルギー分野の事業に携わっておられるようですが。」

 

「今月いっぱいで代表取締役会長は退任いたします。その会社は昨年8月にKDDIの子会社になってます。過去に会計処理上のミスが起こってしまいましたが、建て直しの目処もついたので。」

 

「今現在はどういったお仕事をされているのでしょうか?」

 

「IoT・人工知能・ビッグデータというのが3大話であって、これから第4次産業革命というのが始まるんだけど、日本とドイツでパートナー国家を組んで、その第4次産業革命を推進していこうと、そのお手伝いを今はメインでやっていますね。」

 

「いろいろとインタビュー記事を見ていると、村上様は『計画的に生きてきたことなんてない』と・・・」

 

「そうだよ、ないよそんなこと。」

 

「やっぱりそうなんですね。(笑)

そういったお考えをお持ちのうえで敢えてお聞きしますが、何か夢であったり、将来成し遂げたい事というものはないのでしょうか?」

 

「IoT・ビッグデータ・人工知能という中でいうと、人工知能の分野での関わりがこれまでずっと続いているので、あるとすればそこですかね。

アメリカで5年間勤めていた頃も、人工知能技術センターというところにいたということもありますし、あるいは学生運動から足を洗ったのも、『2001年宇宙の旅』というSF映画の中で人工知能を搭載したコンピューターが出てくるんですけど、それを見たときに『おおー、こんなコンピューターを作ってみたいな』と思ったのがきっかけなわけです。

もう火炎瓶ばっか作ってちゃいけねーなと。(笑)おまわりさんにはどうやっても勝てないとわかったので。(笑)

 

Googleから誘ってもらったときも、それまでの人工知能分野での経歴を買われて誘われたんです。今では皆さんの間でも認知度が高まってきているようですが、僕は1980年代からずっと人工知能に取り組んできたわけです。

やっぱり、人工知能の行く末を見届けたいというのが僕の中にはありますかね。」

 

「2013年頃のインタビューで『人工知能はまだ80年くらいは楽しめる』というようなことをおっしゃっていたかと思うのですが、それはどういうことでしょうか?」

 

「そうそう。

それは、この間亡くなられたマービン・ミンスキーという人工知能研究のパイオニアの方と1980年くらいにお会いしたときに、『Norio、人工知能はこれからあと100年くらいは楽しめるぞ』と言われたんです。

というのは、『100年かけてもそんなもんできるかい』という言葉の裏返しだったと今では思うんですけども。(笑)

 

で、皆さん『アルファ碁』とかを見ると『人工知能すげー!』なんてなるわけですが、人工知能にはまだ『自己意識』というものが作れてないわけです。

アルファ碁も、とにかく超高性能のコンピューターで計算しまくってるわけで、あれは碁を楽しんでしているわけじゃないのよ。

あの結果は4勝1敗だったけど、アルファ碁は勝ったときは喜ばないし、負けたときも悲しまないわけ。ただひたすら計算機がぶん回しで計算しているだけなんだよね。

 

そういう意味合いにおいては、『わたし』という自己意識は作りこめていないわけですから、まだまだ80年くらいは研究されていくはずですよ。」

 

「ではその80年後、つまりゆくゆくはそれも達成されるということでしょうか?」

 

「いや、それに関しては80年かからないと思う。」

 

「!?!?」

 

「うん、80年はかかんないね。」

 

「それがもし達成されたとして、どんな世界になると思いますか?」

 

「人類は初めて、自分が創り出したんだけど、エイリアンに会うってことになると思う。自分たちとは違う形の知性体に会うわけよ。

 

で、僕らはくじらとかイルカとかを知的な動物だと位置付けているけど、結局まだ相互理解すらできてないよね?

ましてや、これから自分たちが創り出した、超が付くような知性体に出会うわけだけど、きっと理解できないんだと思うね。お互いに。

 

だから、宇宙から来たエイリアンに会うのと同じことですよ。もしかすると、もうエイリアンさんは地球に来られているかもしれないけどね。

向こうはこちらのことをわかっているかもしれない。でもこちらは向こうを理解できない、つまりお互いに相互了解に至っていないというだけなのかもしれない。

 

人工知能が皮肉的なのは、自分たちが創り出したものがエイリアンになるという点だね。

だから皆さんはエイリアンさんとお会いになるという世代ですよ。(笑)がんばってください。(笑)どうなるかは私の知る由もないところですが。(笑)」

 

「村上さんは創るだけ創ると。(笑)

では、少しお話を変えて、別の記事で『もし村上さんが22歳に戻ったとしたら、ファーストキャリアはどこに置くか』という質問で、プリファードストラクチャーさんやメタップスさんを挙げておられましたが、今お考えになっても、同じような会社に行くべきだと思いますか?」

 

「んー、私はね、『べきだ』という話は絶対にしないんですよ。世の中『べきだ』なんてことは無いわけ。

『あんただったらどうする』『僕だったらこうする』ということはあっても、ほかの人が『そうすべき』だとか、そんなのはなし。

 

ご自身でそれはお決めなさい。

まあ簡単に言うと『ママの知ってる会社に行くんじゃない』ってことだね。(笑)オカンの知ってる会社に行ってどないすんねんこれから。(笑)」

 

「そのお話大好きです。(笑)

ただ、挙げられていた会社はすべてAIに関する事業を行う会社だったかと思うのですが、AI関連以外の事業をやっている会社の中で挙げようとしたらどこがありますか?」

 

「うん、だから『ママの知らない会社』。(笑)

ホワイトリストっていうんだけど、『ここはいいですよ』っていう意味ね。で、『ここは入ったらダメ』っていうのがブラックリスト。

このブラックリストひとまとめにすると、『ママの知ってる会社』です。(笑)

 

もうだからオカンに聞いてみたらええんです。

『オカン、この会社知っとるか?』と。そこでオカンが『いや知らん』と言ったらホワイトリスト。レッツゴーです。(笑)」

 

「なるほど。。。。」

 

村&筆「アッハッハッハッハッハ(ここで一緒に爆笑していました。笑)」

 

「これからエイリアンと出会うのに、オカンの知ってる会社行ってどうするんやと。」

 

「もうめちゃくちゃ楽しいです。

では次の質問で、村上さんがこれまで生きてきた中で、大きな挫折ってありましたか?」

 

「そりゃもう学生運動の頃だよね。あんな共産主義者で逮捕までされちゃって。(笑)

世界革命という、やや稚拙なロジック・ロゴスだったとは認めますが、そのパッションというか、パトスとしての想いの面で、残念だったなという風には強く思いますね。」

 

「なるほど。では、お仕事の面ではどうですか?」

 

「仕事上の挫折か。。。

 

外資系の法人を預かってきたわけだけど、ほとんどが最後は破綻してるわけです。唯一破綻していないのはGoogleだけなんです。

ただ、それはある種仕方ないという部分もあるわけです。コンピューター産業というものは、リーディングカンパニーと呼ばれる会社が変遷していくわけです。

 

たとえそうであれ、最後のリストラなどを会社のトップとしてやらなければならなかったわけです。社員1人1人に1年くらいは食いつなげるだけの割増退職金などはお渡ししていましたが、やっぱりものすごく辛かったですね。

今では同窓会で『村上さんは悪くなかった』などと言ってくださいますが、そういった苦難を自分の決断で強いてしまったということは、今でも自分の中に悔恨の念としてありますね。」

 

「ありがとうございます。

次の質問なのですが、村上様がこれまで大切にされてきた信念や軸っていうものはおありですか?」

 

「『我等いつも新鮮な旅人 遠くまで行くんだ!』という言葉に尽きますね。

齢70にして、引き続きこれだけワクワクできる人生なわけです。若い方々ががんばってくれているおかげです。

そういう意味でも、いつまでも気持ちは若々しく保っていきたいなと思いますね。

 

あとはね、学生運動からは足を洗ったのですが、そこに素晴らしい言葉があるんです。

学生運動をしていた頃、ついにその運動が終わるというときに、そのメンバーが壁に書き残したものなのですが、

 

『連帯を求めて孤立を恐れず 力及ばずして倒れることを辞さないが 力尽くさずして挫けることを拒否する』

 

という言葉です。

この言葉は、足を洗ってサラリーマンになってから、いろんな困難に直面したときの支えになった言葉です。

『本当に最後まで力を振り絞ったか』と。『もうひと頑張りできるんじゃないのか』と。

敗退した学生諸君が書き残した言葉だからこそ、すごく力の籠った言葉だなと思いますね。」

 

「ありがとうございます。

では、また内容が変わるのですが、今の日本において、何か問題に感じていることはありますか?」

 

「それはやっぱり『教育』ですね。もう文科省の方なども気づいて行動に移されていますが、ここ20年ほど日本のGDPの成長率は横ばいなわけです。そして、もっと簡単に言えば、明治維新から150年ほど経ちますが、その期間で日本は欧米先進国に追いつくために『正解をたくさん覚えた人間が勝ち』みたいな教育をしてきたわけです。

100年位は、それはうまく機能したと思います。だけど、今の時代はもうそれじゃだめなわけです。

 

『正解があるかどうかも分からない問題を思いつき、それについて考え抜く』という力が必要なんです。

そして、その考え抜いた自分なりの答えをみんなで共有する。ディスカッションですね。そういう教育が必要なんです。

 

ただ、そういった教育はこれまで日本ではまったく行われてこなかったわけ。最近文科省などもお気づきになって、取り組んでおられるようですが。

そういう意味で、この国が抱え込んでいる今の問題は『教育』だと思いますよ。

ただ、始まろうとはしているんですけど、『さて、では日本国民全員がその方向に向かって一気に突き進もう!』ということができるかというと、まだまだだと思います。

だからこそ、教育の立て直しというところが必要なんじゃないかな。」

 

「なるほど。ではその『答えがあるかどうかわからない問題を見つけ、それについて考え抜く』という能力を磨くにはどうすればいいのでしょうか?」

 

「それはね、もう反転学習とか、アクティヴラーニングという学習法です。そういったものが結構確立されてきていますしね。

 

私がよくいうのは、分数の割り算ってひっくり返してやるじゃない?

『じゃあそれはなんでひっくりかえすんだろう。』って聞くと、だいたいの人が『だって先生がそう教えたから』と答えるはずなんです。

何でかなんて考えたことないですよね?」

 

「たしかに。」

 

「そういった反転学習やアクティヴラーニングというものでは、『これはどうやって解くでしょうか?』と問題を投げかけるわけです。

その『なぜ』の部分を子供達が一生懸命考えてきて、次の授業で発表するわけです。そこでお互いの答えをディスカッションして『そうか、そういう考え方もあるのか』と学んでいくんです。

すると、その訓練は社会に出ていくうえで、そのまま応用可能となるわけです。『なぜ』の部分を考えて、みんなで協力して答えを創り上げていく。

これが今後の教育として正しいのだと私は考えていますね。」

 

「なるほど。では一方で、世界全体として抱えている問題は何だと思いますか?」

 

村「これから第4次産業革命というのが必ず起こるのですが、それが単にバラ色の話じゃないんですね。

やっぱりその中で、ある意味格差が広がってしまったり、先に行く人と後から来る人で情報の量や質がまったく違うといった状況が生まれてくるはずなんです。いろんなことが考えられます。

 

それを放置してしまうと、最近の流れでもあるように『自分の国がよければそれでいい』というナショナリズムのスタンスになってしまうんです。グローバリズムに対するアンチ的な立ち位置ですね。

第4次産業革命に取り残されていく人、落ちこぼれてしまう人というのが、そういった立ち位置を取る傾向が高まっていくと思うんです。排外主義と言いますか。。。

 

それをどう防いでいくかということを考えるのは、必ず必要になってくることだと思います。

いくつか手は考えられますが、セーフティーネットを手厚くするだとか、取り残されてしまった人を救い上げるという対処を施せるようにならないと、過激な方向に進んでしまう人間を生んでしまう危険性があると考えていますね。」

 

*第1部はここまでです!第2部でもまた別のテーマについてお話を伺っていくので、ぜひご覧ください!

 

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*村上憲郎 様:著書

(この2冊は、特に学生、若手ビジネスパーソンの方にはぜひ読んでいただきたいです。これから私たちがどういった方向で努力していけばいいのか、その正しい努力方法について述べられています。)

 

*第4次産業革命に関するオススメ書籍

*村上憲郎 様:書籍

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